今回のBlogでは、個人開業の診療所・クリニックの医療法人化に関しての<中編>です。
<中編>では、医療法人化のメリット・デメリットを説明していきます。
【医業経営コラム】医療法人化に関して<中編>
【医療法人化のデメリット】
医療法人化を検討する際は、デメリットを理解することが重要です。
まず、デメリットを適切に理解することで、法人化への不安を解消し、適切な判断が出来るようになります。
まず、デメリットを適切に理解することで、法人化への不安を解消し、適切な判断が出来るようになります。
(1) 利益(剰余金)の配当が禁止 医療法人は株式会社と異なり、出資者への利益配当が認められていません。そのため、法人内に蓄積された利益を適切に活用する必要があります。一般的には、役員報酬や退職金の支給を通じて、法人内の利益を有効に活用します。
(2) 解散時の資産処分の制約 医療法人を解散する際、残余財産がある場合は、設立当初の出資金を超える財産が国などの公的機関に帰属します。ただし、計画的な役員報酬の支給や退職金の活用により、残余財産への懸念を回避することが可能です。
(3) 交際費の損金算入額に制限 医療法人化すると、出資金等の額が一定の金額を超えた場合、交際費の損金算入額に制限がかかります。
・出資金等の額が1億円以下の場合:年間800万円までが経費として認められる。
・出資金等の額が1億円以上の場合:交際費のうち、飲食費の50%のみが経費として認められ、それ以外は経費計上できない。
持ち分なし医療法人では、(期末総資産-期末総負債-当期利益) × 60%が1億円を超えた場合に、上記②の制限が適用されます。
(4) 厚生年金と健康保険の加入義務 医療法人は法人格を持つため、厚生年金および健康保険(医師国保も可)の加入が義務付けられます。ただし、最近では個人開業時に社会保険に加入しているケースが多いため、大きな影響はない場合もあります。
(2) 解散時の資産処分の制約 医療法人を解散する際、残余財産がある場合は、設立当初の出資金を超える財産が国などの公的機関に帰属します。ただし、計画的な役員報酬の支給や退職金の活用により、残余財産への懸念を回避することが可能です。
(3) 交際費の損金算入額に制限 医療法人化すると、出資金等の額が一定の金額を超えた場合、交際費の損金算入額に制限がかかります。
・出資金等の額が1億円以下の場合:年間800万円までが経費として認められる。
・出資金等の額が1億円以上の場合:交際費のうち、飲食費の50%のみが経費として認められ、それ以外は経費計上できない。
持ち分なし医療法人では、(期末総資産-期末総負債-当期利益) × 60%が1億円を超えた場合に、上記②の制限が適用されます。
(4) 厚生年金と健康保険の加入義務 医療法人は法人格を持つため、厚生年金および健康保険(医師国保も可)の加入が義務付けられます。ただし、最近では個人開業時に社会保険に加入しているケースが多いため、大きな影響はない場合もあります。
(5) 手続きの増加 医療法人化すると、毎年の決算書類の都道府県知事への届出、決算後の「資産総額変更」の登記、2年ごとの「理事長の変更(重任)」の登記など、追加の手続きが必要になります。令和5年8月以降は、経営情報等の報告義務も課されています。ただ、あまり難しい手続きではない為、ご自身で覚えてしまうか、専門家に依頼することで負担を軽減することが出来ます。
(6) 事業の制限 医療法人は、法律により医業に直接関係のない収益事業を行うことが禁止されています。例えば、不動産投資(診療用や職員住宅を除く)や飲食店の経営は法人名義では行えません。ただし、理事長個人や別法人(株式会社など)を設立することで、こうした事業を行うことは可能です。
(7) 医療法人と理事長個人の資産の分離 個人事業主は事業の利益を自由に使えますが、医療法人では法人の資産を個人的に使用すると「貸付金」となり、利息が発生します。
個人事業主時に家計と事業の分離を徹底できていない場合は、このデメリットが想像以上に息苦しく感じ、医療法人化したことを後悔した…なんてことを耳にします。そうならない為に、個人事業主時代から家計と事業をしっかりと分離し、(個人事業主の場合は、院長個人の給与という概念はないのですが、)一定額を給与と想定し、お金を使うことで医療法人化しても違和感なく生活することができます。
(7) 医療法人と理事長個人の資産の分離 個人事業主は事業の利益を自由に使えますが、医療法人では法人の資産を個人的に使用すると「貸付金」となり、利息が発生します。
個人事業主時に家計と事業の分離を徹底できていない場合は、このデメリットが想像以上に息苦しく感じ、医療法人化したことを後悔した…なんてことを耳にします。そうならない為に、個人事業主時代から家計と事業をしっかりと分離し、(個人事業主の場合は、院長個人の給与という概念はないのですが、)一定額を給与と想定し、お金を使うことで医療法人化しても違和感なく生活することができます。
【医療法人化のメリット】
次に、医療法人化によるメリットを見ていきましょう。
(1)所得税と法人税の税率差 個人事業では、所得が高くなると最大55%の税率が適用されますが、医療法人化すると利益を「法人所得」と「役員報酬」に分散でき、法人税率(約30%)の適用により、全体の税負担を軽減できます。
(2)給与所得控除の活用 院長の所得が給与所得(理事長報酬)に変わることで、給与所得控除(最大195万円)が適用され、税負担を抑えることができます。
(3)所得の分散が可能 医療法人では、家族を理事にすることで所得を分散し、税負担を軽減できます。支払う報酬が不相当に高額な場合には、税務調査の際に否認されてしまいますが、例えば、開業医の妻が他の病院に勤務している場合でも、非常勤理事として適正な報酬を支払うことが可能です。
(4)退職金の活用 個人事業では、院長や専従者に対する退職金は経費になりませんが、医療法人では適正な退職金を法人の損金として計上できます。また、退職金は役員報酬より税金が低いため、節税効果を高めながら、老後資金を確保できます。
(5)経費の認められやすさ 車両の減価償却や役員社宅の制度を活用し、法人としての経費計上が容易になります。
(6)相続税対策 「持ち分なし」の医療法人の場合、出資者は法人に対して持ち分を持たない構造となります。その為、出資者が死亡しても、相続の際に持ち分の評価が不要となり、相続税の負担が軽減されます。
(2)給与所得控除の活用 院長の所得が給与所得(理事長報酬)に変わることで、給与所得控除(最大195万円)が適用され、税負担を抑えることができます。
(3)所得の分散が可能 医療法人では、家族を理事にすることで所得を分散し、税負担を軽減できます。支払う報酬が不相当に高額な場合には、税務調査の際に否認されてしまいますが、例えば、開業医の妻が他の病院に勤務している場合でも、非常勤理事として適正な報酬を支払うことが可能です。
(4)退職金の活用 個人事業では、院長や専従者に対する退職金は経費になりませんが、医療法人では適正な退職金を法人の損金として計上できます。また、退職金は役員報酬より税金が低いため、節税効果を高めながら、老後資金を確保できます。
(5)経費の認められやすさ 車両の減価償却や役員社宅の制度を活用し、法人としての経費計上が容易になります。
(6)相続税対策 「持ち分なし」の医療法人の場合、出資者は法人に対して持ち分を持たない構造となります。その為、出資者が死亡しても、相続の際に持ち分の評価が不要となり、相続税の負担が軽減されます。
(7)事業承継の円滑化 医療法人では、持ち分譲渡や役員変更だけでなく、合併や分割などを活用した柔軟な承継が可能です。これにより、後継者の状況に応じたスムーズな事業承継が実現できます。
(8)生命保険の活用 医療法人が契約者・受取人となる生命保険の一部は損金算入が可能で、保障や資産運用の選択肢が増えます。
(9)家計の安定化 役員報酬として毎月安定した給与を受け取ることで、家計管理がしやすくなります。
医療法人化には多くのメリットがありますが、一方で手続きや資産管理の面での負担も増えます。
(8)生命保険の活用 医療法人が契約者・受取人となる生命保険の一部は損金算入が可能で、保障や資産運用の選択肢が増えます。
(9)家計の安定化 役員報酬として毎月安定した給与を受け取ることで、家計管理がしやすくなります。
医療法人化には多くのメリットがありますが、一方で手続きや資産管理の面での負担も増えます。
法人化を検討する際のポイント
✅ 法人化による節税効果を最大化するため、長期的な視点で計画を立てる
✅ 引退を見据えた上で法人化を行うか考える
✅ 医療法人の資産管理ルールを理解しておく
✅ 節税効果だけでなく、デメリットや自身の事業スタイルを総合的に判断することが重要
当法人では、医療法人化のシミュレーションや手続きのサポートを行っております。具体的なご相談や無料相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください!
✅ 引退を見据えた上で法人化を行うか考える
✅ 医療法人の資産管理ルールを理解しておく
✅ 節税効果だけでなく、デメリットや自身の事業スタイルを総合的に判断することが重要
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